セキスイハイム THWのスペックについて

注文住宅

スマートハイムナビ(HEMS)を導入したり、各部屋に有線LANを引きたい要望があったりするとほぼ確実についてくる(or 勧められる)THWについて、特にネットワーク関連のスペックをまとめてみます(2022年時点のスペックです)。

THWとは

一言でまとめると、セキスイハイムの宅内LANシステムのことです。これを導入することで、各居室に情報コンセント(有線LANジャック)を巡らせたり、光回線や無線LANに必要なネットワーク機器を綺麗に設置することが可能です。

ハイム・ツーユーホームの設備カタログを参照すると、IT対応ハイブリッド配線ボックスシステムという名称で説明がなされています。”T”はわかりませんが、HとWはHybrid Wiringの頭文字かもしれませんね。

スポンサーリンク

THWの構成とスペック

THWはいくつかの機材から構成されています。それぞれ紹介していきます。

情報分電盤(情報盤)

カタログでは「主装置」と記載されているもので、Abaniact(因幡電機産業)の情報配線システム 情報盤 2WAY ATFを採用しているようです。

情報配線システム 情報盤 2WAY ATF
因幡電機産業 情報配線システムラインナップページより

情報分電盤には以下で紹介するいくつかの機材が入っています。また、情報分電盤にはONUやルーターなどを設置できるトレイがあり、追加機材を収まり良く設置することができます。

スイッチングハブ

上記の情報分電盤の中に、同じAbaniact製の14ポートスイッチングハブ(AH-14GPM-01)が搭載されています。

詳細はリンク先をご覧いただければと思いますが、主な仕様は以下の通りです。

  • 14ポート
  • 10BASE-T / 100BASE-TX / 1000BASE-T

TV分配器

アンテナや光回線のONUから情報分電盤にやってきた同軸ケーブルを、各部屋に配線するために分配します。アンテナレベルが低い場合には、ブースターを情報分電盤に追加設置することができます。

その他

最近では固定電話を使わない人も多いと思いますが、電話回線の分配器がついてくるようです。

また、スイッチングハブやブースターなどの電源をとるためのACコンセントも提供されます。

情報コンセント

セキスイハイムでは、LAN端子(RJ-45端子)とTV同軸端子を同じ枠につけたコンセントを「情報コンセント(標準)」と呼んでいます。TEL端子を含めて3口としたり、TEL端子を2つ含めた4口コンセントを設置することもできるようです。

情報コンセント(標準)
情報コンセント(標準)

上記スイッチングハブが14ポートなので、情報コンセントも最大14個…と言いたいところですが、実際にはそれよりも少なくなります。というのも、スイッチングハブには以下のような機材も接続されるからです。

  • 光回線などのルーター
  • 快適エアリー
  • 蓄電池システム・太陽光パネル
  • スマートハイムナビ
  • インターホン(Eタイプ)
  • ホームセキュリティシステム

オプションの機材が多いので全て接続するケースは稀だと思いますが、自分の場合は「情報コンセント8個分含めてこの値段です」と案内された記憶があります。もしかしたら8個までOKというのが一つの目安かもしれません。

下記ハイブリッドケーブルの項でもお伝えしますが、LAN端子の規格はCat. 5eになります。

ハイブリッドケーブル

情報コンセントの項を見て分かる通り、情報分電盤からある一つの情報コンセントまでは、標準でLANケーブルと同軸ケーブルが配線されます。

だったらLANケーブルと同軸ケーブルを一緒に配線したほうがラク、ということなのでしょう。THWではLANケーブルと同軸ケーブル、そして将来の光ケーブル用空配管がひとまとまりになったハイブリッドケーブルというものを使用して配線を行います。なお、情報コンセントにTEL端子も含める場合には、上記LANケーブル部分にTELケーブルが、空配管部分にLANケーブルが通されると聞きました。このことから、空配管はLANケーブルを通すだけの広さがあることがわかります。

LANケーブルはCat. 5eとなっています。Cat. 5eは現状一般的な利用であれば問題ないスペックですが、ネットワークにシビアな人(?)からすると少々物足りないかもしれません。このハイブリッドケーブル、電気工事を行う側からすれば効率的ですが、同軸ケーブルとLANケーブルがセットになっていることもあり、LANケーブルだけ高性能なものに変えることができません

THWを利用しつつ、どうしても高性能なカテゴリのケーブルを通したい場合、以下のような方法が考えられます。

  • 高性能なケーブルを通す場所が少なければ(例:ルータから書斎だけ、とか)、ハイブリッドケーブルとは別に追加でケーブルを通す
  • 全ての情報コンセントを切り替えたい場合には、ハイブリッドケーブルの空配管部分に高性能なケーブルを通す(この場合、ハイブリッドケーブルを使う利点はほとんどありません)
スポンサーリンク

THWを導入すべきか

気になるのはCat. 5eのケーブル・情報コンセントと、1000BASE-Tのスイッチングハブです。

LANの通信速度が1Gbpsで問題ない方や、将来の高速通信はWi-Fi中心に行うという方はTHWを導入してしまうのが手っ取り早いと思います。Abaniactのハブも特に機能的に劣っているというわけではありません。費用的にも安くはないものの、設置の手間など考えれば妥当ではないかと思います。

一方で、引き渡し当初より高速なLANを構築したい(例:10GbpsでLANを構築する)方はTHW導入の意味がほとんどないです。ケーブルだけでなくスイッチングハブや情報コンセントそのものを取り替える必要があるためです。2.5GBASE-Tや5GBASE-TであればCat. 5eケーブルはそのまま活かせますが、スイッチングハブは以下のようなものに交換する必要があります。

この場合、情報分電盤にうまく収まるか、情報分電盤にやってきているLANケーブルに長さの遊びがあるか(このスイッチングハブに接続を切り替える必要があるため)などを確認する必要が出てきます。この辺りを確認しなくて済むのは、Abaniactが同じ形状の新製品をリリースした場合ですが、こればっかりは将来どうなるかわかりません。…だったら全部自前の方が確実じゃない?となります。

自分の場合は導入見送り

営業さんとやりとりをして上記のようなことがわかったため、新居ではTHWを導入しませんでした。代わりに、空配管と同軸ケーブルの配線をお願いしました。THWを導入するよりは安価になりましたが、Cat. 6Aケーブルや情報コンセントを調達する費用や配線を自力で行う手間を考えると、万人におすすめはできません…。お金さえあれば、Cat. 6Aケーブルや情報コンセントの敷設もお願いしてしまっても良いと思います。

ちなみにこの件、最初は営業さんに少々渋られました。というのも、ZEH補助金を受けるにはHEMS(スマートハイムナビ)が太陽光パネルなどと連携してきちんと動作していることを証拠として示す必要があるらしく、THW以外での確認実績が販社側になかったためです。…下手すれば補助金がおりないトラブルになりかねないのでリスクと捉える気持ちはわかります。ただ、実際には上記の通り単なるスイッチングハブですので、対応してもらうことができました。

スポンサーリンク

まとめ

この記事では2022年時点のTHWのスペックについて説明しました。

容易に施工できるようにハイブリッドケーブルが使われていますが、それが理由でLANケーブルはCat. 5eしか選択できません。将来対応のための空配管も準備されているので、現時点で不満がないのであればTHWを導入してしまうのが簡単です。ただ、どうしてもスペック的に物足りない、というのであればTHWなしという選択肢もあります。

なお、THWなしでどういった状態になっているのか、ケーブルをどう通すのかは別途記事にしたいと思います。

実際に配線した内容をまとめた記事はこちら:

Cat. 6Aの情報コンセント種類についての比較記事はこちら:

ネットワーク技術の変遷から技術進化対応の戦略を考えた話はこちら:

コメント

タイトルとURLをコピーしました