新居を構えるにあたり、照明スイッチとしてパナソニック製のリビングライコンを採用しました。リビングライコンに関するブログ記事はまだまだマイナーのようでしたので、記事にしてみようと思います。まずは導入の経緯とリビングライコンの特徴・アドバンスシリーズ リンクモデルなどとの比較から。
もともとアドバンスシリーズのリンクモデルを導入したかった
のっけからアレですが…。
新居でスマートホーム化を進めたかった自分は、照明の一括制御や音声制御をするために、もともとパナソニックのアドバンスシリーズ リンクモデル(以下、リンクモデル)を導入しようと考えていました。しかし、コロナ禍による半導体不足の影響で、2022年5月から一部モデルの受注が停止となり、ちょうどその頃インテリアの検討を始めていた自分はその煽りをモロに喰らってしまいました。
スイッチのデザイン自体も比較的好みだったので、これが使えなくなり結構がっかりしてしまいました…。
リンクモデルだと何ができるのか
未練タラタラですが、リンクモデルを導入すると何ができるのかをざっとまとめてみます。
スマートフォンで照明を操作できる
照明のON / OFFや調光をスマホ経由で行うことができます。リンクモデルの場合はLAN(正確には特定小電力無線の内容をLANに接続する無線アダプタ)経由で、リンクプラスモデルの場合はBluetooth経由で操作することができます。
無線アダプタに繋げば屋外からでも照明の制御をすることができます。リンクプラスモデルも無線アダプタ(あるいは同等機能を持つAiSEG2)と接続することができるので、どちらのモデルも屋外から制御可能です。
スマホでは結構複雑なことができるようで、複数の照明をグループ化して一括制御したり、グループごとにシーン(調光・調色)を設定することもできます。
リンクモデルとリンクプラスモデルで同じことができるのかどうかがよくわからないですが…。
複数の照明を一括操作できる
リンクモデル・リンクプラスモデルは特定小電力無線(426MHz・920MHz)を受信できるようになっています。ですので、スマホに頼らずとも、物理的なスイッチ・リモコンを使ってこの照明に対して外部から指令を出してやることができます。
一つは一括OFFスイッチです。
玄関などに一括OFFスイッチを置いておけば、出かける時に家中の電気をオフにできます。ただ、一括でONにする機能はありません。ここは注意が必要です。
もう一つはシーン切り替えです。
こちらは据付のスイッチではなくリモコンタイプですが、複数の照明をあらかじめ設定したシーン(調光・調色・ON/OFF)に一発で切り替えることができるというものです。よく見ると「切」ボタンもあるので、一括OFFもできるようですね。
HEMSと連携できる
これはかなりニッチな機能ではないかと思いますが、HEMSと連携して電力ピーク時に照明の照度を下げたりできるようです。
…まぁ賢い機能であることは確かですが、コレをやりたいが為にリンクモデルを選ぶ…という人は少ないかもしれません。
インテリア担当によるフォロー
2022年初夏、インテリアを検討している最中にリンク・リンクプラスを導入できないことが分かりました。半導体不足でメーカー側で受注を止めている(22年5月から。23年1月現在継続中。追記:23年4月現在こちらのリンク先ファイルがなくなっているので状況改善したみたい?)上に、ハウスメーカー側にも在庫がないとのこと。
さすがにこの一件で「家を建てるのやーめた」とはならないですが、それなりにインパクトも大きいので、インテリア担当からは私にリンクモデルを気分良く?諦めてもらうためのフォロー(という名の説得)がありました。曰く、インテリア的にリンクモデル・リンクプラスモデルのイマイチな部分は、「普通のスイッチよりも場所をとる」こと。どういうことでしょうか。
普通のスイッチは、一つの取り付け枠に3つスイッチをつけられます。これが、リンクモデル・リンクプラスモデルだと、一つの取り付け枠にスイッチ2つまでしか取り付けられません。
特にLDKがつながっている場合、いくつかのゾーンに照明を分けて計画することが多いため、スイッチも多くなりがちです。さらに、いくつかの場所から同じ照明を操作するために追加でスイッチを配置することを考えると、この差は小さくない…との主張です。
照明のゾーン数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通常モデル | 取り付け枠 x 1 | 取り付け枠 x 2 | 取り付け枠 x 3 | ||||||
リンクモデル | 取り付け枠 x 1 | 取り付け枠 x 2 | 取り付け枠 x 3 | 取り付け枠 x 4 | 取り付け枠 x 5 |
ま、確かになぁ…という気がちょっとだけしてきました。
実際の照明計画にあてはめて考えてみると…
ただ、実際の照明計画に当てはめてみないといまいちその差のイメージが掴めません。そこで、新居のLDKの照明計画でスイッチの数がどうなるかシミュレーションしてみることにしました。
LDK部分の照明計画
新居のLDKは主にダウンライトを使用しています。リビング部分は吹き抜けになっているため、スポットライトやラインブラケットを設置しています。まとめると以下のような感じです。
- キッチン (2)
- ダウンライト 調光なし
- 下り天井コーブ照明 調光あり
- ダイニング (1)
- ペンダントライト 調光なし
- リビング (4)
- ダウンライトシンクロ調色あり
- テレビ上の左右ブラケットライト調光あり
- 梁スポットライト 調光あり
- 吹き抜けラインブラケット 調光あり
- リビングホール通路 (1)
- ダウンライト 調光なし
全部で8つのゾーンに分かれていますが、さらに「調光あり」の部分は普通のスイッチに加えて明るさを調整するボリュームも必要になります。これは、通常モデルもリンクモデルも取り付け枠を一つ丸々使ってしまいます。
どっちにしろかなりの場所を占有する…
このことを考慮すると、スイッチの配置をまとめても以下の数の取り付け枠が必要になることがわかります。
- キッチン・ダイニング 取り付け枠 x 2(普通スイッチ x 2の枠と調光スイッチ x 1)
- リビング 取り付け枠 x 4
- リビングホール通路 取り付け枠 x 1
計、取り付け枠 x 7です。リビング以外のスイッチを2箇所に設置すると、取り付け枠 x 10になります。そして、元々のきっかけであった「リンクモデルの方が場所を取る説」については、新居の照明計画に限って言えば通常モデルでもリンクモデルでも占有面積は変わらないという結果になってしまいました。
調光しようとするとどうしても面積が大きくなってしまいますが、さすがにこれはやりすぎな気がします。調光ボリュームは照明種類などをうまく整理すればもう少し減らせるかもしれませんが…。
ただ、せっかくフォローいただいたのに「このままだとどっちにしろイマイチ」という結果になってしまったのは残念です。そもそもの照明計画を練り直した方が良いのかもとも思ってしまいます…。
注:ちなみにインテリア担当をフォローしておくと、家中リンクモデルを導入する場合はおそらくアドバイス通りになるはずです。どこもかしこも調光あり、というわけではないからです。下記のリビングライコンとは想定される使われ方が少し違うということは記載しておきます。
次善策として登場したリビングライコン
Panasonicとしてどれだけ売り込みたいのかイマイチ分からないのですが、メーカーのサイトを巡っていたらリビングライコンというものを販売していることを知りました。インテリア担当はこれまで自身で採用したことがなかったようで、採用事例はそこまで多くなさそうです。
ウェブサイトにあるこの画像が、このデバイスの特徴を言い表しています。
リビングライコンができること
詳細はオフィシャルサイトをご覧いただければと思いますが、ざっくりまとめると以下のような感じです。
- 一つのパネルで最大5つの照明を接続して一括で操作できる
- パネルは最大2つまで拡張できるので、その場合最大10の照明を接続できる
- 操作方法は、あらかじめセットした最大6つのシーンボタンとON/OFFボタンの計7つのボタンから一つ選択する方式。リンクモデルと異なり、直前のシーンに戻す一括ONも可能
- シーンには、接続された照明それぞれのON/OFF状態と調光を記憶できる
- パネルには赤外線受光部があり、リモコンを使って操作できる
- シーンおよびON/OFFを選択可能な子機を最大3つ接続できる
結構良いような感じがします!デザインもなかなかなんじゃないでしょうか。色違いもあります。
もともとリンクモデルを導入したかった理由が一括制御や音声制御だったので、赤外線で操作できるのは嬉しいです。Nature RemoやSwitch Botなどを導入すれば音声で制御できそうです。赤外線リモコンを見ると、点灯と消灯が別スイッチになっており、これも遠隔制御で活用する際にはポイント高いです。消すつもりだったのに、既に消えた状態だったためにもう一回点灯してしまった…という、テレビ音声操作あるあるを回避できるからです。
リビングライコンができない・苦手なこと
インテリア担当にも強調されたことですが、リビングライコンはあくまで決められたシーンを切り替えるコントローラであって、複数のスイッチをまとめたものではありません。そのため、出来ることに違いがあります。
6シーン「しか」設定できない
ON/OFFだけできる単純な照明を操作する場合を考えてみましょう。照明5つをスイッチで操作する場合、そのON/OFFの組み合わせは32通りあります。言い換えれば、スイッチであれば32通りの照明パターンを設定し放題です(もちろん手間はかかります)。照明10個を操作する場合には、その組み合わせは1024通りです。
一方で、ライコンの場合はその中から6つ(+全消灯)のシーンしか設定することができません。ON/OFFだけでなく調光も含めて6つなので、うまく設定しないとシーンが足りなくなるかもしれません。パントリーや納戸の照明のような、個別に(そして一時的に)ON/OFFしたい照明をライコンに繋いでしまうと使い勝手が悪くなってしまいます。
パパッと調光できない
普通の調光スイッチの場合、ボリュームノブがついているのでそれをグイッと回せば調光できます。一方で、ライコンのパネル表面にはボタンしかありません。
どう調整するかと言えば、パネルカバーを開いて上下ボタンで光量を決めます。
調光スイッチを使った「ノブをグイッ」と比べると、調光にだいぶ手間がかかることがわかります。基本的には、シーンを登録するときにだけこのボタンを利用して調整し、あとはシーンを選ぶだけ、という使い方が想定されているのでしょう。まぁ、多くの場合はそれで事足りるのではないかと思います。
ちなみに、ライコン用のリモコンを使うと照明個別に調光をすることができるようです。調光スイッチにまで手を伸ばさなくて良いという意味ではリンクモデルに近い操作性が実現できそうです。
リビングライコンのリスク
ずばり、廃盤リスクです(注:あくまで個人の意見です)。
リンクモデルやリンクプラスモデルは、言ってしまえば一般のスイッチを置き換えるような機械です。裏側の電気配線は特にこれまでのスイッチと大きな違いはないため、廃盤になっても代替品を探すのは比較的容易ではないかと思います。
一方のリビングライコンは配線からして特殊です。これにより、リフォーム時の需要もあまり見込めません。これらのことを考えると、しばらく経って壊れた際に、似たような部品があるかといえば、リンクモデルの代替品よりは可能性は幾分低いと思います。ただ、他メーカーからもライコンは出ていますし(ODELICは結構推してます)、一箇所で照明を集中制御したいという要求は今後も続くと思うので心配し過ぎなくても良いとは思います。
まぁ、この記事を読んで少しでもリビングライコンの採用者が増えればそのリスクも軽減されるというものです…。
結果、リビングライコンを採用することに決定
結構値は張るものの(この記事を書いた今になって他社よりもだいぶ高いことに気づく…)、スイッチがそこかしこにあるというのはどうしても気になってしまったため、Panasonicのリビングライコンを導入することに決めました。リンクモデルでやりたかったことがほとんど可能、ということも決め手の一つです。
上記で紹介した8つのゾーンを制御するには、親機が2つ必要になります。親機2つは同じ場所に並べて設置したため(そうするしかないとの説明でしたが、実際のところは不明)それなりに占有面積が大きくなってしまいましたが、別の場所に設置する子機はかなりシンプルです。動線を考慮し、子機は
- リビングに入ってすぐの壁
- リビングオープン階段の柱
- キッチン奥の壁
に設置することにしました。もしこれを普通のスイッチでやろうとしたら場所をとってしまって大変だったでしょう。
なお、シーンが6つで足りるかという点については、LDK全体の生活シーンは食事・団らん・テレビ鑑賞くらいなものなので(暴論かも)、せいぜいそれを朝晩で照度を変えるなどして6通りで足りる、と割り切ることにしました。
まとめ
アドバンスシリーズ リンクモデルとの比較という形でリビングライコンの機能やメリット・デメリットを紹介しました。ご参考になれば幸いです。
少し日常使いをした後に、実際の使い勝手やNature Remoと連携した音声制御の方法などについて記事にしたいと思います。
追記:インプレッション、書きました
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